2019.08.28

戦力が整った神戸。イニエスタ同様、
フェルマーレンも高度なプレー連発

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 8月23日、サガン鳥栖との一戦に臨んだヴィッセル神戸は、エースのアンドレス・イニエスタが伝家の宝刀を抜いた。

「こんなプレーを見せられたら、勝てない」

 鳥栖の選手たちがそう言って脱帽するほど、イニエスタのプレーは神がかっていた。思い切り飛びかかっていっても、くるりとターンされてしまう。どうにもならない実力差を見せつけられていた。

サガン鳥栖戦では前半45分までプレーしたアンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸) 神戸は3-4-1-2のようなシステムで、「1」のイニエスタは縦横無尽。その存在が、他の神戸の選手のプレーを触発した。

<イニエスタはボールを失わない。必ずパスが出てくる>

 味方はそう確信し、奮い立った。まるで大軍に切り込む豪傑がいっせいに流れを変えるように、稀代の軍師が一瞬にして相手に総崩れにするように、勢いに乗って攻めかかった。

 そして神戸は、イニエスタに触発されるだけの実力の持ち主を擁していた。

 ベルギー代表トーマス・フェルマーレンはバルセロナでイニエスタともプレー。セルジ・サンペールも、同じくバルサで期待されてきた選手だ。そして山口蛍、西大伍、そしてドイツから戻った酒井高徳は日本代表として戦ってきた。鳥栖戦で2得点した古橋亨梧は、初速が驚くほど速く、シュートセンスもあり、日本代表クラスの逸材だ。

 鳥栖戦では後半からピッチに立った元スペイン代表ダビド・ビジャ、さらにウェリントン、ルーカス・ポドルスキを含め、神戸の戦力は整った。

 では、神戸は戦いの形を見つけられたのか?

「ボールを持つというのがチームのフィロソフィー。それを続けたい」(サンペール)

 神戸のビジョンははっきりしている。「バルサ化」を標榜し、そのためにイニエスタをはじめとする人材をかき集めてきた。監督がコロコロ変わるなど、目標に向かって一直線に進んでいるとは言い難いが、戦力は充実しつつある。

 サッカーは資金力の差が出るスポーツだ。大金を出せるクラブは、相応の選手を集めることができる。それは掛け値なしに戦力となる。