2019.08.19

湘南スタイルはどうなる?
疑惑に揺れるなか、らしさは失われていた

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 J1第23節、湘南ベルマーレはサガン鳥栖をホームに迎え、2-3で敗れた。

 前半に2点のリードを許した湘南は、前半のうちに1点を返すと、後半12分に一度は同点に追いついた。だが、その後のチャンスを逃すうち、徐々に勢いが失われ、アディショナルタイムの95分、痛恨の決勝ゴールを許した。

 前節終了時点で11位の湘南は、J2降格危機に瀕する16位の鳥栖を相手に勝ち点を積み上げたかったが、逆に、鳥栖のJ1残留を後押しする貴重な勝ち点3を献上する結果となった。

監督の「パワハラ疑惑」に揺れるなか、鳥栖に2-3で敗れた湘南 と、普通の試合なら、こんなレポートで済むところだろう。

 だが、残念ながら、湘南にとってこの試合は、長いリーグ戦のなかの単なる1試合ではなかった。試合が行なわれたShonan BMWスタジアム平塚には、いつも以上に多くの報道陣が集まっていたが、最大の興味は試合結果より他にあった。

 湘南を率いる曺貴裁(チョウ・キジェ)監督の”パワハラ疑惑”、である。

 今季就任8年目となった曺監督は、「湘南スタイル」として知られる現在の湘南のサッカーを作り上げた張本人である。曺監督の熱血指導によって潜在能力を引き出され、湘南で”覚醒”する選手も少なくなかった。

 しかも、曺監督のすごいところは、目指すサッカーの軸となる部分は保ったうえで、常にマイナーチェンジを繰り返していたことだ。つまり、引き出しの少ないサッカーの繰り返しで、選手がマンネリに陥ることがなかった。それこそが8年もの長きに渡り、ひとつのチームを率いながら、大きく成績を落とすことがなかった理由である。

 しかし、その一方で、選手に劇的な変化を促す激しい指導が、人によっては苦痛に感じ、チームを去らざるをえなくなった選手(あるいは、コーチングスタッフ)もいた、ということだろう。同じ行為であっても、受け取る側がどう感じるかが違う以上、パワハラか否かに白黒つけるのは難しい。選手やサポーターの反応を見ていると、曺監督に対して好意的なものが多いようだが、だから”白”、とは判断できないのが、この手の問題の難しいところだ。