2019.08.18

C大阪が質実剛健でじわり浮上。
ロティーナの懐の深さが選手を鍛える

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

 実務能力の高さにおいて、奥埜は水沼宏太、藤田直之と並んでロティーナ・セレッソの象徴と言える。

 ロティーナは堅実な性格の選手を好む。彼自身がバスク人で、「共闘精神」を叩き込まれてきたということもあるだろう。質実剛健。どれだけ華やかなプレーができても、持ち場を守れない選手を認めない。派手さはなくても、気の利いたプレーでポジションに適応し、味方同士で高め合えるか。その環境で選手の成長を促す。

 ロティーナがJ2の東京ヴェルディ時代に指導した畠中槙之輔、渡辺皓太は飛躍を遂げ、この日の対戦相手である横浜FMでプレーし、すでに日本代表にも呼ばれている。

「自分の得点力が開花しているか、それはわかりません。僕はFWとしては身長も、スピードもないので厳しい。どうしたら特徴を出せるのか、味方あっての自分なので。頭を使って、見てもらいながら、タイミングを大事に動くことを考えています」(セレッソ・奥埜)

 後半、セレッソは劣勢に立たされている。横浜FMに圧倒され、68分にはマルコス・ジュニオールに同点弾を決められた。ロティーナが「下がらざるを得なかった」と振り返ったように、意図した守備戦術ではない。相手に流れをつかまれ、同点にされる前後にも決定機を作られていた。逆転されても不思議はなかった。

 しかし、セレッソに耐え凌ぐ力があったのも事実だろう。第23節終了時点で、失点数はリーグ2番目に少ない。

<まずは守備から。ディフェンスの安定が攻撃を支える>

 ロティーナの考え方は慎重にも映るが、実戦的で、戦いの土台となっている。実際、セレッソは苦戦を余儀なくされるなかで、反発力を見せた。76分、左サイドでFKを得ると、交代出場したブラジル人MFソウザの蹴ったクロスに、鋭い動きで飛び込んだ奥埜が右足先で合わせ、再びゴールネットを揺らしている。

 堅実な戦いが、2-1での勝利に結びついた。

「たしかに、今日は勝っただけの試合だと思います。マリノスが、どうやったらこれだけボールをつなげられるのか、気になって見てしまいました。でも、いい試合をしても勝てない試合もありますし、大きな1勝です」(セレッソ・水沼)