PKのルール改正の注意点。適応しないとGKにとっては退場のリスクあり (2ページ目)

  • 清水英斗●取材・文 text by Shimizu Hideto
  • photo by Getty Images

 GKが注意すべきはタイミング、ということになるかもしれない。横浜F・マリノス戦ではエジガル・ジュニオにPKを決められたが、その場面を西川は次のように振り返る。

「(コースを)読んではいたんですけどね。一回前に出ようとして、ダメだと思って、一回下がって跳んだ。でも、そこで半歩のタイミングだけ合わず、間に合わなかったです。(なぜ、一回下がった?)前に出たまま止めても意味がないと思いました。先に前に出てしまったので、止めてもやり直しで、カードが出る。

(キッカーは少しタイミングをずらしてきた?)そうですね。ちょっとした駆け引きなんですけど、先に前に出てしまって、うまく踏み込めなかった。そこは自分の反省点ですね。この経験を生かさなければもったいない。敗戦から学ぶこと。その繰り返しになるんですけど、そこは追求しながら、まだまだ上を目指していかなきゃいけないと思います」

 GKは跳ぶタイミングがズレると、両足がゴールラインから外れた状態になりやすい。このようなセービングの習慣を、新ルールに適応させなければ、イエローカード2枚で退場処分を受けるリスクがある。

 とくにVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が入る試合では、数センチ単位でゴールラインから足がはみ出したケースも検出されてしまう。先月の女子ワールドカップでも、GKの出足に対して、残酷で細かすぎるセンチ判定が問題となった。VARが入る以上、1センチでも2センチでも、出たらファウルと判定しなければ、勝負の公平性に疑問が出てしまう。

 しかし、これがPK戦の場合、GKにとってリスクのある場面が4、5回続くことになる。セービングに深刻な影響を及ぼすだろう。そこで女子ワールドカップは決勝トーナメントからは、PK戦の上記場面でイエローカードを出さないとし、一時的にルールを変えて運営していた。

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