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J王者・川崎フロンターレが
チェルシー戦で得た多大なる「気づき」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 では、なぜそれほどに一方的な試合になってしまったのか。その理由を探るひとつのカギとなるのが、谷口のコメントのなかにもある「距離」である。

 ボクシングや柔道などで、「自分の距離」や「相手の距離」といった表現が用いられることがあるが、この試合の川崎は「チェルシーの距離」で戦わされていた印象だ。攻守両面において、選手間の距離をもっと縮めて戦いたい川崎に対し、チェルシーはそれを許してくれなかった。つまり、「川崎の距離」にはしてくれなかったわけである。

 前半は右サイドバック、後半は主にボランチとしてプレーしたMF守田英正は、チェルシーの選手について「ボールを運びながら、距離を操る」と評し、こう語る。

「(チェルシーの選手は)ボールの受け方がうまく、懐が深いので距離の埋め方が違う。こっちはスケールが小さく、パスでしか埋められないが、相手はドリブルを使い、ピッチを広く使っていた」

 ごく簡単に言えば、選手同士の距離が近くないとプレーできない川崎に対し、遠くてもプレーできるチェルシー。両チームには、気持ちよくプレーできる選手間の距離に違いがあるわけだが、ピッチ上の選手の配置を俯瞰していると、常に川崎は「チェルシーの距離」に包み込まれてプレーしているように見えた。守田が続ける。

「(チェルシーは)選手一人ひとりの幅、プレーエリアが広い分、共有するスペースが大きい。僕らは少し狭かった」

 そして、守田は「守備でパワーを使い過ぎて、(ボールを奪ったあとに)適正ポジションを取るのが遅かった」とも話していたが、チェルシーは攻守両面において、ピッチ上の選手全員が自分のポジションを取るのが速かった。チェルシーが自分たちの距離で戦うことができた、ひとつの理由だろう。

 ならば、川崎もチェルシー並みに、選手一人ひとりがプレーエリアを広げ、もっと選手同士の距離を広げてもプレーできるようにならなければいけないのか。

 もちろん、それはひとつの解決策だろう。それもできるようになるに越したことはない。だが、それがすべてではないはずだ。

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