2019.05.29

セレッソが戦術的チームに激変。
スペインの名将の策で低迷を打破した

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 築田純/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

 5月25日、ヤンマースタジアム長居。セレッソ大阪は首位のFC東京を1-0で下している。最近6試合は、ルヴァン杯も含めて4勝1敗1分。一時は降格圏を彷徨って空中分解寸前に追い込まれたが、調子は一気に上向いている。

「完璧でしたね。選手がロティーナの戦いを理解できているというか。これでいいんですよね!」

 FC東京戦後、MF水沼宏太は朗らかな笑顔で答えている。

 いったいセレッソは何が変わったのか。スペイン人指揮官、ミゲル・アンヘル・ロティーナが、試行錯誤するなかで最適解を導き出したのだ。

今季からセレッソ大阪を率いるミゲル・アンヘル・ロティーナ監督 今年2月、今シーズン開幕直前だった。J2レノファ山口とのトレーニングマッチに、セレッソが1-0で敗れた後、指揮官であるロティーナ監督にこう声をかけた。

「これこそ、あなたが目指していた戦い方ですよね?」

 ロティーナは、否定も肯定もしなかった。いつものように不敵な笑みを洩らした。敗れた後だったのも、多分にあるだろう。

 オーソドックスな4-4-2で戦った一戦は、敗れたものの、デザインは見えた。各選手がポジションを取ることで守りを安定させ、それによって攻撃を旋回させる。スペインで采配を振るっていたロティーナが、最も多く用いた戦い方だった。FW、MF、DFの各ラインが防衛線を作って、組織としてスペースを分担して守る。攻撃はサイドから、中に入るFWと呼吸を合わせ、クロスを仕留める形だ。

 ロティーナ自身、現役時代はクロスを沈めるのを得意としたストライカーだった。

 しかし、昨シーズンまで率いた東京ヴェルディでは、3-4-2-1、あるいは5-4-1とも言える陣形を選択している。とにかく後方に人を集め、後ろに重心があるバリケード戦術に近かった。

 Jリーグはサイドバック、サイドアタッカーの人材が乏しく、このふたつを兼ねるウィングバックが多い。ロティーナは、3バックを採用してウィングバックを置くことで、自らのやり方を日本に適応させたのだ。

 今季、人材が豊富なセレッソを率いるようになって、スペイン人指揮官は当初、4-4-2を選択していた。ただ、プレシーズンは思うような結果が出なかった。J2のクラブにさえ敗れた。