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プロ1年目。腐りかけた那須大亮を救った
中澤佑二や松田直樹らの言葉

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

ベテランJリーガーの決断
~彼らはなぜ「現役」にこだわるのか
第7回:那須大亮(ヴィッセル神戸)/前編

 駒澤大学3年生だった2002年、横浜F・マリノスでスタートしたプロサッカー選手としてのキャリアは、今年で18年目を迎えた。プロになった当初は、ここまで長くキャリアを重ねることも、ましてや、18年間ずっと国内のトップリーグで戦い続けることも「まったく想像していなかった」と、那須大亮は言う。

プロ生活18年目の那須大亮プロ生活18年目の那須大亮「『(現役を)30歳まで続けられたらありがたいな』から始まって、30歳になったら『35歳までやれたらいいな』と思っていたら、気づいたら今年で38歳になっていました。欲を言えば、日本代表とか、海外でのプレーという目標を叶えられたらよかったけど、プロ1年目の自分を想像したら、ここまでやれただけでも感謝しなきゃいけないのかも」

 その言葉にもあるように、試合にほとんど絡めなかった1年目も含め、那須はここまでのすべてのシーズンを、理想どおりに過ごしてきたわけではない。現在所属のヴィッセル神戸でも、移籍初年度となった昨季のリーグ戦出場はわずか9試合。今季に関しては今のところ、一度もリーグ戦のピッチに立てていない。それでもここ数年、サッカーへの向き合い方に変化はないそうだ。

「どんな状況に置かれても、プロである以上、ベストを尽くす」

 その信念に従って、今も変わらずに全力で戦い続けている。

「結果的にずっとJ1で戦ってきましたが、僕自身はどのカテゴリーのどのクラブにいても、どんな環境でも、試合に出ていても、いなくても、常々、まずは自分がベストを尽くすことを考えてきました。

 そうやって、置かれた立場でやれることを突き詰めたり、現状を少しでもいいものにしようと努力することを怠れば、先の未来は今より絶対にいいものにはならないと思うから。これは、サッカー選手としてだけではなく、ひとりの人間として強く思っていることで、この先の人生でも自分の芯になる部分だと思っています」

 プロサッカー選手としての道を切り拓くきっかけになったのは、大学2年生のときに出場した第50回全日本大学サッカー選手権大会での優勝だ。その前から年代別カテゴリーの日本代表に選出され、先にプロのキャリアを歩き始めていた同期に揉(も)まれて、「プロで勝負してみたい」という欲が芽生えていたからだろう。大学生活で初の"タイトル"をつかんだ直後、試合を見に来ていたJクラブのスカウト陣に、自ら声をかけた。

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