リージョの辞任で「バルサ化」は頓挫か。
イニエスタ不在の神戸が連敗 (2ページ目)
それでも、試合を優勢に進めたのは2人の元スペイン代表選手が不在の神戸だった。リージョ監督が丹念に仕込んだボールゲームの質は高い。各自がポジショニングで上回り、ボールをつなげ、プレスを回避し、ビルドアップで上回った。
しかし前半10分、左サイドのバックパスに、ディフェンダーが足を滑らせてしまう。それを興梠慎三に持ち込まれ、エリア内に入ってから中へ切り返されたところ、必死にカバーへ戻ったダンクレーが足をかけてしまった。神戸は呆気なくPKを与え、早くも先制された。
もっとも、ここから「神戸が攻め、浦和が守る」という構図がより鮮明になる。
「前からプレスをかけられなかったが、後ろではブロックを作って。エリア内では1対1の球際のところで、守備の選手たちが負けなかった」(浦和/オズワルド・オリヴェイラ監督)
神戸はボールを動かしながらスペースを作り、ダンクレー、山口の前線への縦パス1本でチャンスを作る。それはリージョ神戸が得意とする攻めの形だった。
19分の攻撃展開は象徴的だろう。バックラインからのビルドアップ、下がって受けたセルジ・サンペールが相手を引きつけてパスコースを探し、フリーになった山口に預ける。山口は相手のポジションがずれたところ、右サイドを走った小川慶治朗へ、絶妙なスルーパス。オフサイドの判定になったが、パス回しから相手を崩していた。
「(今日のように)あれだけボールを持ったら、タイミングさえ合えば必ずゴールにつながるはず。出し手と受け手のタイミング。そこをもっと強く意識しないと」(小川慶治朗)
タイミングは、リージョが好む言葉のひとつである。現代サッカーでは、スペース、スピード、インテンシティが重く考えられがちだが、すべては相手の逆を取り、味方と呼吸を合わせるタイミングを優位につくるために正しいポジショニングがある。
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