トーレスは空中戦の男にあらず。
鳥栖は今季まだ1得点と悩みが深い

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya photo by KYOD

 第6節でヴィッセル神戸に勝ち、第7節の湘南ベルマール戦では終盤に追いついてドロー。リーグ戦では右肩上がりの松本山雅が、ホームに、7試合わずか1得点、最下位に沈むサガン鳥栖を迎えた。

 試合は、開始早々から松本がハイプレスで試合の主導権を握る。前半10分、ヘディングでのボールの奪い合いから、パウリーニョがダイレクトで鳥栖の最終ラインの背後にパスを出す。鳥栖はニノ・ガロヴィッチが対応するが、前田大然が一瞬のスピードで体を入れ、左足でシュートを決めて松本が先制した。

 その後は松本がしっかりブロックを作り、場面によってはハイプレスでボールを奪い、カウンターを狙う。一方の鳥栖は、松本の3バックの両サイドのスペースを使ってクロスを多用し、フェルナンド・トーレスの頭に合わせる。時にはイサック・クエンカがボランチのポジションまで下がりボールを散らすが、なかなか決定機を作れない。

 後半に入ると、松本が鳥栖のサイド攻撃に対して、人数をかけてケアする。それでも鳥栖は執拗にサイドからのクロスを狙う。両チームとも散発的なチャンスはあったが、決めきれず、そのまま試合は終了した。最後まで集中して足を止めない、自分たちのサッカーを貫いた松本らしい勝利だった。

松本山雅に敗れて肩を落とすフェルナンド・トーレスらサガン鳥栖のイレブン松本山雅に敗れて肩を落とすフェルナンド・トーレスらサガン鳥栖のイレブン 逆に鳥栖は重症だ。鳥栖の前線にはトーレス、金崎夢生、クエンカと、タレントが揃っている。しかし、その3人を活かし切れていない。

 サイドからクロスでトーレスの頭を狙うという攻撃に徹していたが、そもそもトーレスはヘディングでゴールを量産するタイプの選手ではない。

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