リージョの辞任で「バルサ化」は頓挫か。
イニエスタ不在の神戸が連敗
「ブラッド・ピットのようなイケメンなら、おまえはここにいる意味がない。センターバックは"歯にナイフを咥(くわ)えて"、とことん悪役然としてプレーしろ。それがおまえの存在理由だ」
フアン・マヌエル・リージョは熱い口調でそう言って、ブラジル人CBダンクレーの奮起を促したという。リージョらしい独特の言い回しというのだろうか。気合いの入っていない選手には、すれ違いざまに肩をつかみ、身体を揺すり、目を覚ませる。彼の実像は"戦術愛好の哲学者"ではない。
<選手の能力を見抜き、伸ばす>
その仕事だけに集中し、選手を練習で鍛えた。
「リージョのおかげで、プレーの質が上がった」
ヴィッセル神戸で、そう洩らす選手は少なくない。例えば、ルーカス・ポドルスキはリージョ監督就任以来、練習態度からして見違えるほどに変わったという。選手の多くが成長を実感し、実際に西大伍と山口蛍の二人は、短期間の指導で日本代表に復帰。控え組の競争力も高く、ルヴァンカップではグループの首位だ。
ところが4月17日だった。リージョ監督は、電撃的に"辞任"している。代わりに、吉田孝行前監督が復帰。青天の霹靂の監督交代劇に、混乱はまだくすぶっていた――。
キャプテンを返上したルーカス・ポドルスキ(ヴィッセル神戸) 4月20日、埼玉スタジアム2002。神戸は浦和レッズの本拠地に乗り込んでいる。アンドレス・イニエスタ、ダビド・ビジャらスター選手が参戦する見込みとあって、5万5000人近い観衆が席を埋めた。しかし2人とも、コンディションの問題でメンバーに入っていない。
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