久保建英の成長→相乗効果→首位奪取。
FC東京は先制すれば滅法強い (3ページ目)
痛快な一撃だった。分厚い守備からのカウンター。まさに狙い通りだ。
もっとも、時間が経過するにつれ、FC東京は劣勢に回る。名古屋の怒濤の攻めに、意図的に下げていたラインが、ただ押し下げられる形になってしまう。前線の選手がキープからファウルを取ってプレーを切る、という老獪さもなかった。
「前から行こう! もっとつなごう!」
ピッチ内ではそんな会話のやりとりもあったようだが、流れを変えられない。主将の東が相手ボールを突き出し、前に出ようとするが、周りの反応は乏しかった。試合終了直前、シミッチのクロスに合わせたジョーのヘディングが外れたのは、東京にとって僥倖だったと言える。
FC東京はどうにか守り切り、1-0で勝利を収めている。鍛えられた守備とカウンターを示し、それは彼らの武器と言える。守りに自信があるだけに、先制したら滅法強く、自分の土俵で戦える。
なにより、17歳の久保建英が著しい成長を遂げている。右サイドでボールを持って、相手に脅威を与え、時間もスペースも作れるようになった。
たとえば序盤、右サイドでドリブルを仕掛け、ボランチのシミッチを釣り出している。挟まれて奪い返されるも、直後、中央でフリーになった東へパスが渡り、スルーパスから永井が決定機を迎えた。個としての逞しさを見せ、相乗効果を生みつつあるのだ。
もっとも、現状に満足はできない。昨シーズンも、FC東京は8月までは首位争いを演じていたが、その後は得点力不足で失速した。
3 / 4