2019.03.03

貪欲だけどエゴはなし。初ゴールで
見せたビジャ流ストライカーの神髄

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Masashi Hara/Getty Images

 3月2日、ノエビアスタジアム神戸。ヴィッセル神戸サガン鳥栖を迎えた本拠地開幕戦、元スペイン代表FWダビド・ビジャのゴールで1-0と勝利を飾っている。

 後半9分だった。鳥栖のCBは波状攻撃を受け、混乱していたのだろうか。クリアボールがもうひとりのCBに当たって、ボールがこぼれる。その隙を見逃さなかったビジャが、GKの位置を見極めて右足で蹴り込んだ。

 サガン鳥栖戦でJリーグ初ゴールを決めたダビド・ビジャ(ヴィッセル神戸)今季、鳴り物入りで入団したビジャは、才能の片鱗を見せたと言えるだろう。2008年欧州選手権、2010年ワールドカップで得点王に輝き、スペイン代表に栄光をもたらした実績は伊達ではない。37歳になるが、昨季まで所属した北米MLS(メジャーリーグサッカー)のニューヨーク・シティでも破格の得点力を見せつけていた。

 鳥栖戦のビジャは、前半だけで3本の決定的なシュートを放っている。どれも完璧なマークの外し方だった。出し手と呼吸を合わせ、マーカーの逆を取って、シュートの形まで持ち込んでいる。なかでも、ブラジル人CBダンクレーからの1本の縦パスを足もとに呼び込み、右足を一閃したシーンは白眉だった。鳥栖のCBのマーキングが緩慢だったのもあるが、別次元の間合いを見せた。

 もっとも、決定力に関しては不完全燃焼で、1ゴールに終わっている。

「いまは順応しているところだが、それをエクスキューズにはしたくない。たくさんのチャンスを得ているので、今日はそのひとつが決勝点になってよかった。でも、次はもっと確率を上げたい」

 ビジャは試合後にそう言って口元を引き締めた。彼の真価が見られる条件とは――。