久保建英の肉体と精神は1年で大きく成長。バルサ育ちの真価発揮へ
「小さな少年選手をスカウトすることを躊躇するな。小さくて目立っているということは、大きな相手を苦にしないということ。本質的なフットボールの力が優れているということだ。大きくて目立っている少年は、周りも同じように大きくなったら、差をつけることはできない。むしろ、小さな選手に目を向けるべきだ。彼らは身体ができてくれば、十分にボール技術を出せるのだから」
これはバルセロナの下部組織、ラ・マシアに哲学を植え付けたヨハン・クライフの戒めである。
事実、近年のラ・マシアで育ったバルサの選手は、小柄な選手が目立つ。リオネル・メッシ、アンドレス・イニエスタ、シャビ・エルナンデス......彼らはみな身長170cm前後。小兵の部類に入るが、威風堂々と世界を席巻している。
ラ・マシアで育ったFC東京の久保建英も、その系譜を継ぐひとりと言えるだろう。
川崎フロンターレとの開幕戦に先発した久保建英(FC東京) 2月23日、等々力陸上競技場。Jリーグ開幕戦の久保は、17歳には見えないほど、超然として映った。3連覇を狙う川崎フロンターレの選手を相手に、少しも怯むところがない。体をぶつけられても、堂々と跳ね返す。自らボールを握ってゴリゴリと前に運ぶ。うまさだけでなく、力強さが漲っていた。
「オフに筋トレをバリバリやっていましたからね」
FC東京のチームメイトは、久保の肉体的変化についてそう洩らしている。たしかに、昨シーズンと比べると体つきが変わった。腰がすわった印象で、子供から大人に成長したほどの変化だ。
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