一体感あるヴェルディの完璧な勝利に、6位からの大逆転昇格が見えた (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 ところが、これがまったくと言っていいほど機能していなかった。ヴェルディのボランチ、MF井上潮音が語る。

「3バックが(大宮の)2トップを外せていたので、ボランチ2枚が前を向いてボールを受けることができた」

 前向きにボールを持てたヴェルディの2ボランチに対し、大宮の2ボランチが慌ててボールに食いつけば、今度はその背後に潜り込んだ2シャドーへとパスを通されてしまう。結果、大宮のディフェンスはボールの奪いどころが定まらず、ただただ後退を余儀なくされ、ゴール前ではね返すことしかできなくなった。

 そして理由のふたつ目は、大宮にまったく攻め手がなかったことである。

 大宮が高い位置でボールを奪えなくとも、低い位置でブロックを作ってヴェルディの攻撃を食い止め、個人能力の高い2トップ(FW大前元紀、マテウス)にボールをつなぐ展開が作れれば、大きな問題はなかった。

 だが、実際は常に守備で後手に回ることとなり、前半は効果的なカウンターはおろか、ヴェルディ陣内にボールを持ちこむことすらままならなかった。ヴェルディのFW林陵平が語る。

「前半からボールが持てたし、やりたいサッカーができていた。ハーフタイムには、監督やコーチも『いいサッカーをしている』と話していた」

 ただ、ヴェルディにとって唯一の誤算だったのは、ボランチのMF内田達也が59分に2枚のイエローカードを受け、退場となったことである。

「2トップにするアイデアを持っていた」

 そう語るヴェルディのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が、FWレアンドロの投入を指示し、すでに背番号10がタッチライン脇に出てきていた矢先のアクシデントだった。

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