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JFA審判委員長が語る「VAR導入が与える
ジャッジやプレーへの影響」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Reuters/AFLO

小川佳実日本サッカー協会審判委員長小川佳実日本サッカー協会審判委員長「ロシアW杯期間中、VARを担当する審判員は会場に一切行かず、モスクワのメディアセンターに詰めていました。ドイツブンデスリーガ、ポルトガルのリーグもその方式ですけれど、ある1箇所でやるときはインフラが整っていないといけない。ゼロコンマ何秒以内にデータのやりとりをする必要があるので。日本はそのインフラの値段が高いという話です。

 準備段階にある日本では、会場の敷地内の駐車場に機材を搭載した車をセッティングし、その中で行なっています。車の中にはビデオ・アシスタント・レフェリーと、それをサポートするアシスタント・ビデオ・アシスタント・レフェリー。あともう1人、リプレイオペレーターの3人。それに機材をチェックするテクニカルスタッフが1人います。それが最低限のセットなので、こちらもお金はかかります。簡単なことではないです。現在のJ1なら鳥栖から札幌までと、距離も離れていますし」

――導入されるとしたら、J1だけですか。

「そうなると思います。J1は1年間に306試合です。では日本全国で1年間に何試合ありますか。登録チームの数だけでも3万ぐらいありますから、年間10試合やれば15万試合になります。ほとんどの試合はVARなしでやらなくてはならない。でもファンはVARが導入されたJリーグを見れば、都道府県レベルの試合でも、人間の限界を超えたジャッジを求められる。だから私たちは、それがどれほど難しいかを皆さんに伝えていく必要があります。

 J2は、やれればやった方がいいでしょうけれど、そこまで人の手はずが整わない。これをうまく動かしていくためには、専門の人を育てた方がいい。将来的にはVAR専門の審判員が現れるかもしれません。レフェリーの経験がある人に限られますが、ロシアW杯の期間中は、FIFAが選んだ人が、ずっとその業務をやっていました」

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