2018.11.06

名波監督のマネジメント能力は特筆。
ジュビロに降格危機の焦りはなし

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

「まったくプランどおりではないゲームだったと思います」

 2点のビハインドを背負いながら、終盤に追いつき、アディショナルタイムのPKで逆転勝ちを収める――。試合前にそんなシナリオを描ける監督など、世界中を探してもひとりもいないだろう。

潔い采配で逆転勝利を手中に引き寄せた名波浩監督 それでも、プランどおりに進行できなくても、勝利の道を辿ることはできる。この日、名波浩監督が振るった采配は、まさにそういうものだった。

 11月3日に行なわれたJ1第31節、ジュビロ磐田はサンフレッチェ広島とホームで対戦した。この試合を迎える前の磐田は勝ち点37しか稼げておらず、J1参入プレーオフに回る16位のサガン鳥栖とはわずか4ポイント差。残留争いに片足を突っ込んでいる状態だった。

 第24節の鹿島アントラーズ戦から第30節のV・ファーレン長崎戦まで6試合勝利がなく、この間、同じ静岡県のライバルクラブである清水エスパルスには1-5の大敗を喫している。順延となっていた10月30日の第28節・湘南ベルマーレ戦で勝利を収め、やや息を吹き返していたものの、苦しい状況にあることに変わりはなかった。

 残留のためにも、勝利こそが求められた広島との一戦。磐田は立ち上がりからアグレッシブな戦いを披露した。

 最前線の川又堅碁をシンプルに使い、そのセカンドボールをつないでサイドに展開。3-4-2-1の特性を生かすべく、ピッチの幅を有効に使って広島に揺さぶりをかけた。

 もっとも、ボールを持ちながらもアタッキングサードでの精度を欠き、なかなかシュートまで持ち込めない。逆に31分、セットプレーから失点し、嫌な流れに陥った。

 その状況を打破しようと、名波監督は後半立ち上がりに最初の一手を打つ。故障をかかえていた右ウイングバックの小川大貴に代えて、FWの小川航基を投入。「広島の2CBが、2トップのほうが嫌かなと思った」(名波監督)という理由で、小川航と川又の2トップとし、最終ラインは4バックに変更した。