鹿島がACL制覇へ王手。強さを取り戻した
要因はSBの位置取りにあり (2ページ目)
結局、ペルセポリスにとっては、この試合でこれが一番のビッグプレーになった。精神的に淡泊というか、時間の経過とともにこらえ性がなくなっていった。
鹿島がいいとき、たとえば2016年にJリーグを制し、クラブワールドカップ決勝に進んだ頃は、後半に強いイメージがあった。終盤になるほど力を発揮する、かつてのドイツ・ゲルマン魂にも似た独得の精神力を備えていた。前半を0-0で折り返せば、試合は鹿島のもの。そんなムードがあったが、この試合も、振り返れば、強かった頃の姿そのものに似ていた。
ちょっと守備的に入りながら、徐々に攻撃的な方向に修正して得点を奪う。いい終わり方で勝利の瞬間を迎えるという、精神的に乱れることのない頭脳的なサッカーを最大の売りにしたが、この試合もまさにそういう感じで、後半になると、試合は徐々に鹿島ペースになっていった。
試合後、前半の戦いを大岩剛監督は、顔をしかめながら「前半はよくなかった」と述懐した。
「ディフェンスラインが引いて下がってしまった。それにともないサイドバックの位置も下がり、ボランチまで最終ラインに吸収された。後ろに重たい戦いを強いられたが、後半はディフェンスラインを上げ、サイドバックに高い位置を取らせ、それによりサイドハーフがワイドに開けるようになった。中盤をコンパクトに保ち、そこで数的優位に立ちながらサイドを使うことができた」と述べた。
転機となったのは後半3分のプレーだ。鹿島はコンパクトになった中盤でボールを巡る攻防を制すると、左サイドハーフの安部裕葵がパスを受けた。アジアU-19選手権を途中で抜け、数日前にインドネシアから帰国。この試合への出場にこぎつけた171cmの小柄な19歳が、巧みなステップワークで内に切れ込み、右サイドハーフの土居聖真にパスを預けると、チャンスは一気に拡大した。
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