神戸・リージョ新監督の特異な経歴と実績「日本代表監督を狙いたい」 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by KYODO

「中国のクラブからいくつかオファーは来ていますが、私は日本の方が好きです。雇ってくれるクラブはないですか?」と、逆質問されたのは5年ほど前にインタビューしたときのことだった。その後、彼が渡ったのは南米(チリ、コロンビア)。日本行きはタイミング次第という感じだった。

 可能性がない話ではないことを知る身としては、今回の神戸入りに特段の驚きはないが、歓びの念は禁じ得ない。日本サッカー界にとって画期的なニュースであることは間違いないのである。

 なにより、耳を澄ますべきはその喋りだ。リージョに哲学を尋ねればこう答えた。

「ボール支配率にこだわるサッカーであり、ボールを中心とするサッカーだ」

 新鮮なのは、後半のフレーズだ。

 サッカーゲームは「ボール中心に回っている」という考え方。サッカー選手に求められている使命は「そのどちらに転ぶかわからないボールと共鳴しながらプレーすることだ」と言う。「守備、攻撃の勝手な解釈がサッカーを悪くしている原因だ」「マイボール時でも守備はできる。相手ボール時でも攻撃はできる」とも。

 リージョの書斎には7000冊の蔵書があって、そのうちサッカー本は1500冊を占めるという。読書家であり研究家。古い試合のビデオ鑑賞にも余念がないそうだ。サッカーを歴史的に深く掘り下げることを忘れたくないのだという。

 その結果、異を唱えたくなったのが「いくらいいサッカーをしても勝たなければどうしようもない」という概念だという。「いいサッカーをした方が勝つ」「悪いサッカーをしたチームが勝つ保証はどこにもない」が、研究から得た結論だと胸を張った。

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