2018.09.18

神戸・リージョ新監督の特異な経歴と実績
「日本代表監督を狙いたい」

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by KYODO

 ヴィッセル神戸の新監督就任が発表されたフアン・マヌエル・リージョ。実際にいつから采配を振るうかは未定とのことながら、日本サッカー界に施す薬として、これ以上のものはない。神戸は、考え得る限りにおいて最高の人物を獲得したと言いたくなる。その選択眼、センスに拍手を送らずにはいられない。

ヴィッセル神戸の三木谷浩史会長と握手するフアン・マヌエル・リージョ氏 筆者はこれまで多くの監督に話を聞いた経験がある。サッカー観を触発される監督に、数多く出会ってきた。故ヨハン・クライフはそのひとりになるが、リージョもけっして負けてはいない。

 クライフはスーパースター。現役時代の憧れもあるので、その分ポイントは高くなるが、リージョは14歳のときに選手としての道を断たれたプロ選手経験のない指導者だ。見た目もクライフとは対照的。圧倒的に地味だ。その話には、だからこそ惹きつけられた。

 純粋に話が面白かった。なにより口を突いて出てくる言葉が新鮮だった。ひと言でいえば哲学的。といえば「オシムの言葉」を連想するが、サッカー観をくすぐられる言葉という意味では、リージョの方が勝る気がする。こちらより年下(52歳)なのに言葉に含蓄がある。つい、オシムと同じぐらいの年配者から話を聞かされているような錯覚に陥るのだ。

 新たな視点、概念を提供してくれるので、サッカーの奥の深さを伝えられたようで、サッカーへの興味はさらに膨らむ。日本の指導者からまず聞くことはできない類の話が、次々と飛び出してくるのだった。

 リージョは監督時代、年上の選手からこう言われたことがあったそうだ。

「あなたは1000年ぐらいプレーしてきたような知識を持っていますね。これまで指導を受けてきたプロ選手経験のある監督より、あなたから学んだことの方が断然多い」