トーレスがいることで、
川崎フロンターレの守備がひと際光った (3ページ目)
後半に入り、さらに攻撃の圧力を増した川崎は、後半15分に阿部のクロスから小林がヘディングシュートを狙った。その直後には、阿部のスルーパスからエウシーニョが決定機を迎え、後半42分にも大島の気の利いたラストパスから、途中出場した齋藤学が最大のチャンスを迎えた。
その多くを防いで、勝ち点1をもぎとった鳥栖のGK権田修一の活躍を褒めるべきでもある。だが、攻撃力に自信があり、そのサッカーに矜持があるからこそ、川崎の選手たちの矢印は自然とそこに向く。キャプテンであると同時に、エースでもある小林は言った。
「内容でも圧倒できていたし、いいサッカーもできていましたけど、やっぱり結果がほしかった。どんなシュートでも入れば1点ですし、結果がすべてです」
数え切れないほど作り出した決定機の演出に、一役買っていた家長昭博も思いは同じだ。
「毎試合、同じくらい崩せているし、だからこそ決めるところで決めなければいけない。シュートまでいけない試合や決定機がない試合というのは、どんな対戦相手であってもないので、決め切ること。そこにフォーカスしていかなければならないのは、チームとしてもわかっていますし、自分自身もそこに目を向けていかなければと思っています」
中村憲剛も続ける。
「僕らは(これを)やり続けるしかないですし、それを決めるしかない。(これだけ攻めて)決まらないのであれば、もっとチャンスを作らなければいけない。そういう結論にしかならないですよね」
圧倒的に攻めながら無得点に終わり、引き分けた結果に悔しさをにじませつつ、「切り替えるしかない」と、川崎の選手たちはスタジアムを後にした。彼らが目指しているのはリーグ連覇であり、追求する攻撃的なサッカーにも完成や、ましてや終わりはない。
フェルナンド・トーレスという世界屈指のストライカーが相手にいたからというわけではないが、強固になりつつある守備にも川崎の強さを見た。
3 / 3