「自分たちの形」を確立したFC東京。首位・広島の背中が見えてきた (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hitoshi Mochizuki/AFLO

 しかし、だからといって、闇雲に蹴ったボールをディエゴ・オリヴェイラが拾って、独力で何とかしているわけではない。今のFC東京は、相手から奪ったボールをディエゴ・オリヴェイラまでつなぐルートを、そのときの状況に応じていくつも用意できるのである。

 長谷川監督も、「どうディエゴを生かすか」がチームの重要課題であることは認めつつも、「ディエゴがいい形で動き出すことで、周りの選手のよさも生きる」と語る。

 東が手応えを口にする。

「(ボールを)取ったあとのファストブレイク(速攻)は、今年チャレンジしているところ。それがうまくハマった。キャンプから攻撃の部分で取り組んできたことが、かなり出せた試合だった」

 加えて、「危険な暑さ」とまで言われる今夏、選手をうまく使い回せていることも、FC東京の好材料だろう。

 横浜FM戦でも、MF田邉草民(たなべ・そうたん)が先発出場。ワールドカップ開催による中断前までは先発出場がわずか1試合だった背番号27は、高速カウンターに何度も絡み、自身も1ゴールを決めている。

「ケガ人が戻ってくるなかで、試合に出ている選手には『チャンス(出場機会)をものにしよう』という気持ちが芽生えているのかもしれない」

 そう話す長谷川監督は、中断前にはあまり出番のなかった田邉やMF米本拓司の活躍に目を細める。「(暑さが厳しい)夏場はどういう状況になるかわからない」というなかで、「(選手起用の)カードが切りやすくなった」のは間違いない。

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