熊谷浩二は鹿島入団をすぐ後悔した。「ここに来なければよかった」 (4ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

――当時、小笠原満男選手たち若手の勢いもありましたよね。

「そうですね。たとえば、Bチームとの紅白戦では、主力組の選手のなかには『コンディション調整』という感覚でプレーする選手もいたと思うんですけど、僕はそういう感覚で練習できなかった。わずかでも力や気持ちを抜いてしまうと、ポジションを奪われてしまうという意識が強かったので。たとえ1試合、ケガなどで休んだら、次はないという気持ち。毎日、毎日が勝負。先を見ることなんてなかったです」

――シーズンオフはホッとできるんですよね?

「3日間くらいですかね(笑)。ほかの選手が休んでいるときから、準備を始めないと間に合わないから。本当に、楽しいと苦しいとの両面をもった現役時代でした。苦しいけれど、サッカーが好きで、このチームが好きだったから、あそこまで夢中になれたんだと思います」

――2004年途中に当時J2だったベガルタ仙台へ移籍することに。

「自分にとっても、鹿島にとっても、お互いが次のステップへ行くためにそうしたいと思ったんです。そこまでに至る過程で、僕を成長させてくれたこの環境を与えてくれた人たちやクラブのことを考えたときに、迷惑をかけたくはないなと。僕自身も試合に出るために次の場所へ行けるチャンスがあり、スムーズにことが運ぶのであれば、こういう決断、終わり方が、お互いにとって幸せかなと。それだけのことをしてもらったから」

(つづく)

◆中村憲剛があえて指摘。ロシアW杯で出番ゼロの大島僚太にないもの>>

◆Jリーグ最大の関心事、トーレス。鳥栖の受け入れ準備はできているか>>

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