あの元ヴェルディ監督が、レアル・ソシエダの育成組織を見て驚いたこと (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko

――なぜレアル・ソシエダを研修先にされたのでしょうか?

「まず、羽生(英行)さん(東京V代表取締役社長)と、自分たちのクラブにとってはスペインが合うんじゃないかという話をしました。自分たちはもともとブラジル人選手が多く、テクニックを大事にしてきた。それをベースに、発想を進化させるにはスペインが面白いんじゃないか、と。例えばドイツは、身体の大きさ含めて、どうもしっくりこなかった。自分たちはアスリート系のチームではなく、サッカーを楽しむ文化のあるチーム。戦術、戦略アプローチを考えてスペインがいいな、と。

 そのなかでなぜソシエダかというと、まずソシエダのトップチームは24人中15人、つまり3分の2が下部組織出身なんです。また、一度経営破綻して2部に落ちて、そこから下部組織を中心に戦って1部に戻り、ヨーロッパリーグ(EL)に出るところまできた。つまり、クラブを立て直すなかで、育成を大事にしようとやってきたクラブなんですね。その点が自分たちには響くところがあった。

 ソシエダはビッグクラブではない。といってもJの一番大きいところよりも金銭的には豊かなのですが、例えば、もしバルセロナやレアル・マドリードに行っても、今の自分たちにとって勉強になりますか、という話です。あと、バスク地方の真面目な土地柄も、自分たち日本人には合っているんじゃないかと思いました」

――2~3週間の短期の研修ではなく、1シーズン、最初から終わりまで常駐することに関して、ソシエダ側の反応はどうでした?

「JJPスタッフが話を通してくれた段階で、すごくウェルカムだと聞いていましたけど、実際、非常にウェルカムでした。ただ、こちらのスタンスも大事なので、しっかり入っていこうと思ってました。こちらの態度で相手を"ウェルカムにさせる"って、あると思うんです。

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