J1昇格ライセンスのない町田ゼルビア。それでも4位のモチベーション (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

 だが、相馬監督は「(昇格1年目の)最初の勢いで、と言ったらアレですが、相手も初対戦ではナメてくれていたところがあった」と自嘲気味に振り返り、こう続ける。

「でも、今はどのチームも、うちとのゲームでは(いつもの戦い方とは)まったく違うゲームをしてくるケースが多い。それくらい相手にきちんと対策を練られたなかでも、これだけ勝ち点を積んでこられているというのは、いろんなことが整理できているからだと思う」

 決して町田は、J2の中で他を圧倒する戦力を備えているわけではない。だからこそ、自分たちができることは何か。何がどうなったら、難しい戦いになるのか。そうしたことをきちんと整理して試合に臨むことによって、「勝つ方法、勝ちに近づく方法を、ある程度チームで共有できている」(相馬監督)。勝ち点でこそ一昨季の同時期を下回るものの、当時はなかった手応えを、はっきりと指揮官はつかんでいる。

 しかし、だからといって、町田が着実にJ1昇格へ近づいているかというと、ことはそれほど単純ではない。

 というのも、町田はJ1昇格に必要なライセンスを有していない(ホームスタジアムや練習場などの施設が必要な条件を満たしていない)からだ。

 つまり、町田は今季J2を何位で終えようと、現状においては自動昇格することも、プレーオフへ進出することもできない。ある意味においては、J2を戦ううえで唯一無二とも言える目標を持ちえない町田は、高いモチベーションを保ってシーズンを戦うことが最も難しいチームだと言えるかもしれない。

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