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F・マリノス、打つべし、打つべし。
4得点で勝てずも面白いからOK (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 リスクを負った攻撃スタイルは、観る分には面白い。飯倉が飛び出したのも、ラインの裏の広大なスペースを埋めるために、GKでありながらリベロ的な役割を求められているからだ。第7節のサンフレッチェ広島戦でも同様の形で失点しており、ファンとしては「またしても」との思いもあるだろうが、このスタイルを続ける以上は起こり得る失点である。

 ただし、いくらサッカーが面白くても、プロである以上は結果が求められる。右サイドバックの松原健は、「僕らがボールを保持し続ければ、相手に勢いを与えることはない」と理想を掲げる。しかし、その理想を体現するには、現状では精度が足りない。ボールを奪われないためには個の力量はもちろん、ポジショニングや判断の質も含め、さまざまな課題が横たわる。

 41分には、ラインの裏にアーリークロスを入れられて、3点目をあっさりと許してしまう。後方から勢いを持って飛び出してくる湘南の速さについていけず、横浜FMは完全に負けパターンに陥っていた。

 ところが、この日の横浜FMはひと味違った。前半終了間際に立て続けにウーゴ・ヴィエイラが2点を奪取。前半だけでハットトリックを達成したポルトガル人ストライカーの決定力の高さは称賛されるべきものだが、失点を重ねても攻めの姿勢を示し続けた横浜FMのスタイルがようやく実を結んだ瞬間だった。

 この日、横浜FMのカギを握ったのは左サイドだった。サイドバックの山中亮輔、サイドハーフのユン・イルロク、トップ下の大津、さらには扇原貴宏、天野純の両ボランチも含め、左サイドに厚みをもたらし、素早い連係で湘南の守備網を次々と打ち破った。ウーゴ・ヴィエイラの2点目、3点目は、この左サイドから生まれている。

 一方で左サイド偏重が危機を招いたのも事実だ。左サイドに人数が多いため、逆サイドが手薄となる。せっかく追いつきながらふたたび勝ち越し点を許した場面でも、中の人数が不足していた。

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