負けないが、勝てないセレッソ。原因は開幕戦「幻のゴール」の呪縛か (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

 そして水沼は、「みんなでしっかり守備ができれば、(ボールを奪ったあとに)前に出る(攻撃の)力はJリーグでもトップクラスだと思うので、そこでチャンスを決め切れれば勝っていける」と語り、次節以降の試合に自信を見せた。

 開幕戦以来、ちょっとした勝負のアヤで引き分けばかりが続いているが、試合内容は決して悪くない。尹晶煥監督も「選手には闘志が戻ってきた。それが勝利につながれば自信になる」と語る。

 それだけに、早くほしいのが初勝利だ。杉本が口にした「ひとつ勝てば、どんどんよくなる。だから、早く勝ちたい」という言葉は、チーム全員の本心に違いない。

 まずは1勝。遅ればせながら、優勝候補にも名を連ねるセレッソのスタートダッシュは、そこから始まるのだろう。

 最後にひとつ。

 この試合の後半80分、セレッソのGKキム・ジンヒョンがGKを蹴ろうしてやめ、レフリーに何かをアピールする場面があった。ゴール裏の柏サポーターから差別的行為を受けたのが、その理由だという。

 試合後、当のキム・ジンヒョンも「マッチ・コミッショナーに任せている」と具体的なことは話しておらず、何があったのか(あるいは、なかったのか)については、Jリーグの調査を待つしかない。

 ただ、「選手はよく戦い、いいゲームをしてくれた。(苦しい時間もあったが)手を探り合うような、拮抗したおもしろいゲームだった」(柏・下平隆宏監督)だけに、騒動による中断で水を差される結果となったことは残念だった。

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