2018.03.13

「風間イズム」の魔法。グランパスの
選手がドンドンうまくなっている

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 世界的に名将の誉れ高いセサル・ルイス・メノッティ(アルゼンチン)は、優れた監督の条件についてこう語っている。

「成績など、それほど重要ではない。チームを戦わせるなか、選手をボールプレーヤーとして成長させ、進化させる。それがいい監督だ」

 この点で、風間八宏監督という人は、日本サッカー界で他の追随を許さない。先鋭的なボールゲーム論理をトレーニングに落とし込み、ゲームで実践し、選手を覚醒させている。

 2016年まで5シーズン近く率いた川崎フロンターレでは、全国的に無名に近かった小林悠、大島僚太が目を見張る成熟を見せ、Jリーグを代表する選手になった。大久保嘉人は3年連続で得点王に輝き、中村憲剛はJリーグMVPなどキャリアの頂点に立っている。さらに車屋紳太郎、谷口彰悟という選手が躍動。三好康児、板倉滉ら、抜擢した若手も今や急成長を遂げつつある。

 そして2017年から、風間監督は名古屋グランパスのサッカーを劇的に変革させている。

名古屋グランパスの攻撃の中心に成長にした青木亮太 3月11日、Shonan BMW スタジアム平塚、J1第3節。名古屋は湘南ベルマーレの本拠地に乗り込んでいる。昨シーズンはともにJ2だった昇格組対決になったが、両チームとも練度の高さが光った。高いラインを保ち、密集した状態で、じりじりとした時間が続いた。

「名古屋がFWジョーにボールを当ててくるというのは想定していた」(湘南・DFアンドレ・バイア)

 湘南は労を惜しまぬ守備から入り、名古屋の攻撃を封じている。ジョーは体が重そうで、湘南の組織立ったディフェンスは堅牢だった。安定した守備を軸に、後ろから積極的につなぐ、という勇敢さも見せていた。