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「風間イズム」の魔法。グランパスの
選手がドンドンうまくなっている (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

「湘南は縦に速いカウンターのイメージがあるようですが、それだけでは(高いレベルでは)限界がある。後ろから(相手のプレスを)外せないと。ボールを持ち出し、ワンタッチでつける。そこで勇気を持てないとGKに返すしかない」(湘南・曺貴裁監督)

 曺監督は選手をオールアウト(力を出し尽くす)させ、戦いの中で使える技術や戦術を高める手腕に長けた監督だろう。献身性が際立つチームを作り上げた。

 一方、名古屋は異なるコンセプトで作られていた。選手全員が「ボールありき」で動き、ポジションを取る。ボールを握り、運ぶ、その技術の鍛錬は見事だ。

 例えば17歳のセンターバック、菅原由勢(ゆきなり)は、フィードでタイミングを変えて縦パスを入れる。インサイドキックひとつとっても球筋が違い、判断と技術レベルは白眉だ。高いラインで守るなど、攻撃的コンセプトによって守備を機能させていた。

「自分たちが練習で作り上げてきた攻撃の成果が出たと思う」(名古屋・FWガブリエル・シャビエル)

 前半から、名古屋は湘南陣営でボールを奪い返すことが多かった。攻撃でいいポジションを取ることを徹底することで、必然的に守備も機能する。攻撃は最大の防御なり、だ。

「チームとしては、ボールを持って全体で動けていました。パスの短い長いにはこだわっていません。大事なのは、相手の逆をとれるか。プレーは速くなっているし、後ろや横へのパスは少なくなっている」(名古屋・風間監督)

 後半も、名古屋は堂々とボールゲームを貫いた。特筆すべきは、ポゼッション重視のチームにありがちな「ボールをつなぐことに終始する」という落とし穴に、はまっていない点だろう。

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