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これならもうJ2に落ちない。
湘南ベルマーレがJ王者に見せた新境地 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 もちろん、「自分たちらしさを出して勝つ」ことがベストなのは間違いない。しかし、それができないときにどうするのか。「自分たちらしさを出せたが、勝てませんでした」で、いつまでも満足していていいのか。

 これこそが、今季の湘南が取り組んでいる新たな挑戦である。

 さまざまなテクノロジーが進化した現在、対戦相手の分析をより細かく、かつ正確に行なえるようになった。湘南の曺貴裁(チョウ キジェ)監督は言う。

「相手が我々の特長を出させないようにするのは当たり前」

 相手が対策を講じてくるなら、自分たちはその対策に対策を講じ、すると相手はその対策の対策に対策を講じる。曺監督は、そうした現代サッカーを「いたちごっこ」と表現する。

 もちろん、相手がAでくるなら、我々はB。相手がBでくるなら、我々はCというように、相手の出方に応じてどんな手にも対応できればいいが、「すべてをよくしようとすると、特長がなくなる」と曺監督。いかに自分たちの魅力を失うことなく、勝利という結果に近づくか。ベストではなくとも、ベターを探す。

「その答えを今季見つけていきたい」

 湘南を率いて7シーズン目を迎えた指揮官は、そう語る。

 変化の萌芽(ほうが)は、すでに昨季から見えていた。

 例えば、攻守の切り替えが速く、スピードに乗って一気に攻め切るのは、従来の湘南らしさではある。だが、昨季の湘南は、落ち着いてボールを動かしながらでも攻め切れる。そんなシーンを確実に増やしていた。「動」の展開に持ち込むしかなかったチームが、「静」の展開にも対応できるようになっていた。

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