2018.01.14

たとえ裏切り者と言われても…。
齋藤学がライバル川崎Fに移籍した理由

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

「(チームを)背負いすぎと言われているけど、自分の前の人たちはみんなそうだったし。苦しい今、つらい今を、逃げずに過ごせています」

 齋藤は気丈にそう語っていたが、実はかなりの無理を自らに強いていた。シーズン序盤と中盤に、2度ほどケガで戦列を離れている。1試合休んでから復帰したものの、以来、痛みが引かないまま騙(だま)し騙しのプレーだった。

 そして昨年9月、ヴァンフォーレ甲府戦で右膝前十字靱帯断裂という全治8カ月の大ケガを負っている。

 その代償は大きく、ロシアワールドカップへの道のりは険しくなった。もっとも、本人は奇跡を起こすことを諦めていない。なぜなら、彼は強烈な責任感と向上心をてこに、高く飛ぶことができた選手だからだ。

「厳しい道を選びますよ」

 川崎移籍を発表する前に、齋藤はそう洩らしている。言葉では言い表せないほどに、苦渋の決断だったはずだ。

「この移籍は許せない!」

 そう反発する人が出るのを、彼が想像しないはずはなかった。