たとえ裏切り者と言われても...。
齋藤学がライバル川崎Fに移籍した理由

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

 昨年春、海外も含めて移籍の噂が立っていたときのことだった。齋藤学は毅然として語っていた。

「もし自分が外に出るなら、たとえ何を言ったとしても、"裏切り者"であることには変わりない。そう思っています」

 齋藤は少し思い詰めたように息を吐いた。

 2018年1月、横浜F・マリノスのキャプテンで背番号10、生え抜きのエースは、J1王者である川崎フロンターレへの移籍を決めている。一昨シーズンの終わりからオファーを受けていたが、海外への移籍を優先していたこともあって、当時は成立していない。今回は契約満了で、同じ神奈川県のクラブへの鞍替えになった。

 これが長年望んでいた海外への移籍だったら、これほど激しい反感を買うこともなかったのだろうか――。

横浜F・マリノスから川崎フロンターレへの移籍を決めた齋藤学横浜F・マリノスから川崎フロンターレへの移籍を決めた齋藤学「逃げたくない」

 齋藤は自身のキャリアの中で、繰り返し言っている。プロに入ってから、安易な道を選んだことはない。「行ったら戻ってこられない。片道切符」と言われた愛媛へのレンタル移籍も、自ら率先して選び、プレーする場所を得て活躍し、見事に1年で返り咲いている。

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