6-1圧勝でも沈痛ムード。前橋育英、悲願の日本一に向け完璧を期す (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 センターバックを務めるDF角田涼太朗(つのだ・りょうたろう/3年)は「結構落ち込んでいる」とまで言い、笑顔を見せずにこう語った。

「そんなにチャンスを作られたわけではない。(2-0になったあとで)ないつもりでも、少し気の緩みがあったのかもしれない」

 圧勝での決勝進出にもかかわらず、試合後の前橋育英の選手が取材を受ける様子には、どこか沈痛なムードさえ漂っていた。

 とはいえ、今大会での前橋育英の強さが際立っていることは間違いない。パスワークを武器とする攻撃力が高いのはもちろんだが、攻守の切り替え、特に攻撃から守備への切り替えの速さは、高校生レベルとしては際立つものを備えており、それが圧倒的な強さを実現できる要因となっている。

 前橋育英の初失点にしても、上田西のゴールキックをしっかりとはね返すことができず、対応が甘くなったところを突かれたものだった。攻守の切り替えうんぬんよりも、少しばかり集中力が欠けた瞬間に、不運も手伝ったというのが、実際のところだろう。

 事実、2回戦から登場の前橋育英は準決勝までの4試合で、ほとんど相手に"サッカーをやらせず"ゲームを支配してきた。対戦相手の選手や監督から、「何もできなかった」との言葉が聞かれるのが、何よりの証拠だ。

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