頂上決戦。高校生なのに「大人びた」サッカーの流経大柏はミスがない
「練習試合だったら、こっぴどく怒るような内容。まったく情けない試合でした」
流通経済大柏(千葉県)の本田裕一郎監督は、まるで敗者のように試合を振り返った。
加藤蓮の見事なダイレクトボレーで決勝進出を果たした流経大柏 インターハイとの2冠、そして10年ぶりの選手権制覇を狙う流経大柏は、ファイナルの舞台を目指し、準決勝で矢板中央(栃木県)と激突した。
立ち上がりから両チームともに、敵陣にシンプルなボールを蹴り込んでセカンドボールを拾ってからの展開に活路を見出した。その狙いは見て取れたが、お互いの守備に隙がなく、なかなかチャンスにまで持ち込めない。
とりわけ、流経大柏の対応には、ほとんどミスがなかった。矢板中央の長身FW望月謙(もちづき・けん/2年)のポストプレーにはやや手こずったが、それでも競り合いで負けても、そのセカンドボールを相手には譲らず、危ない場面を作らせない。
縦パスに対しても激しく対応し、あるいはカウンターを受けた際にも、素早い帰陣とカバーリングでシュートにまで持ち込ませなかった。
今大会3戦無失点と堅守を誇る流経大柏の守りは、この日も健在だった。彼らの対応には、高校サッカーに見られがちな"ケアレスミス"がほとんどない。プレスの強度やポジショニングのよさも光るが、コントロールミスで相手にラッキーボールを与えたり、クリアミスを突かれてシュートに持ち込まれてしまうといった、いわばアクシデントによるピンチがまるで存在しないのだ。
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