ミスター・レッズは期待する。「浦和がJリーグを世界に導く先頭に」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 また、準決勝と決勝の第2戦をホームで戦えたことも大きかった。上海上港との準決勝とアル・ヒラルとの決勝は、どちらもアウェーでの第1戦を1-1で凌いだ。そしてホームでの第2戦は約6万人のサポーターの声援を受け、粘り強く守ってからのカウンターで1点を奪い、栄冠をつかんだ。

 もし、ペトロビッチ監督が決勝トーナメントでも指揮を執っていたら、守備に徹する戦い方はできていなかっただろう。攻撃のチャンスの数は増えていたかもしれないが、勝ち上がれたかどうかは意見が分かれるところだろう。その意味で、勝つ確率が高い采配を振るい、チームを優勝に導いた堀監督の手腕は、もっと評価されるべきだ。

 堀監督の手腕がもっとも光ったのは、準決勝での長澤和輝のスタメン抜擢だろう。それまで長澤は、リーグ戦でもACLでも戦力になっているとは言い難い存在だった。しかし、圧倒的に高い個の能力で押し込んできた上海上港に対して、圧力をかけてボールを奪い取り、そのまま前線へと運ぶ長澤の働きは見事だった。

 長澤が中盤でボールを運べることがわかり、堀監督が4−1−4−1のシステムを採用したことで、守備の面で選手の役割がはっきりした。遠藤航が右SBに回って阿部勇樹がCBに下がり、ボランチに青木拓矢が入るなど、守備がしっかりできる選手をシンプルに後ろに置いたことで安定感が増した。それが、GKの西川周作がコンディションを取り戻すきっかけにもなった。

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