ミスター・レッズは期待する。
「浦和がJリーグを世界に導く先頭に」
【福田正博 フォーメーション進化論】
2017年のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は、浦和レッズが10年ぶり2度目の優勝を果たし、日本勢としては2008年のガンバ大阪以来のアジア王者になった。アジアの舞台で久しぶりに日本のクラブが頂点に立ったが、この結果だけで「Jリーグのレベルが上がった」と考えるのは早計だろう。
2017年のアジア王者となった浦和レッズ 浦和のACLでの戦いを振り返るには、ペトロビッチ体制で臨んだグループリーグと、堀孝史監督のもとで臨んだ決勝トーナメントでは別チームとして考える必要があるのだが、ここでは"堀体制の浦和"について話そうと思う。
2017年のACL決勝トーナメントには、浦和の他に川崎と鹿島も駒を進めたものの、鹿島は1回戦で広州恒大にアウェーゴール数の差で敗戦。一方で、韓国の済州に2戦合計3-2で勝利した浦和と、タイのムアントンに7-2で勝利した川崎が準々決勝で激突した。
等々力陸上競技場で行なわれた初戦は川崎が3-1で勝利を収めたが、埼玉スタジアムに場所を移した2戦目は浦和が4-1で勝利し、2戦合計で5-4と逆転した浦和が次のラウンドに進出した。
浦和がノックアウトステージを勝ち上がれた最大の要因は、"格下としての戦い方"をしたことにある。ペトロビッチ監督のもとで築いてきたポゼッションサッカーを捨て、自陣で守備ブロックを敷いてカウンター攻撃を徹底。シャドーストライカーとして起用されていた興梠慎三を1トップに戻し、そのシャドーにラファエル・シルバを置いた堀監督の決断が奏功した。
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