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「サッカーなら、どんな障害も超えられる」。
難病と闘うFC岐阜前社長の想い (3ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi

 その後、私はクラウドファンディングという手法で会社創業資金を募り、集めたお金で秘書を雇い、車椅子ごと乗り込める福祉車両を購入し、最新技術を駆使した環境を整え、自分の意思を最大限反映できる会社を設立しました。ALSという重度障害を抱えた社長の誕生です。

 社名は『株式会社まんまる笑店』。この会社が目指すのは以下のことです。

「私は今までの人生、人の輪に恵まれました。これからも人の輪の中で仕事をしたいと思います。私のALSのように、人はみな、違う問題や制約をそれぞれ抱えています。でも、誰もがそれぞれの場所で一生懸命生きてます。何も変わりません。私の経験が少しでも、みなさまの問題解決のお役に立てたらと思います。『自分らしく生きる人生は楽しい』。私はそう信じています。この会社を通じて、自分が優しくて強いまんまるになり、まんまるな人の輪を広げていきたいと思います」

 そんなまんまる笑店ですが、この秋に、これまでの活動のひとつの成果として、対談本を出しました。タイトルは『2人の障がい者社長が語る絶望への処方箋』です。対談相手は、生まれつきSMA(脊髄性筋萎縮症)である佐藤仙務さんです。佐藤さんは、19歳で起業された先輩障がい者社長で、かつて電動車椅子サッカー選手であったほど、サッカーを愛する男です。2人の障がい者社長が仕事や人生について、赤裸々に語っています。

 この本の販売会を、FC岐阜のホーム最終戦にさせていただきました。たくさんの方に買っていただきましたが、相手方の湘南ベルマーレのサポーターにもお買い上げいただけたことが、とても印象的でした。社長在任中も相手方のサポーターから温かいメッセージを頂戴しましたが、2年の時が過ぎた現在も気にかけてくださる方々がいらっしゃることを本当に嬉しく思います。まさにサッカーは「敵味方という障害」を越えるのです!

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