スタイルを捨ててJ2降格を免れた広島は、あの強さを取り戻せるのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Buddhika Weerasinghe -JL/Getty Images

 6月、すでに深刻な不調に陥っていた森保監督は、川崎フロンターレに1-0で黒星を喫した後に敗因を語っている。

「ひとつだけ(敗因を)挙げるなら、決定力を欠いた。チャンスはいくつか作れたと思う。そこを決められるかどうか。決められると、守備が耐える力を出してくる。今シーズンはチームが選手、スタッフと様々な変化がある中、それに対応していかなければならない」

 森保監督はこの後まもなく退任する流れになったが、その分析は今シーズンの問題を言い当てていただろう。

 佐藤寿人の移籍、森崎浩司の引退は不吉な影を落としていた。時代の変わり目で、役目を引き継げる選手は下から育っていなかった。優勝した時代の主力が代わらず、10人近い選手が在籍6年目以上。例えば37歳になったミハエル・ミキッチに昔日の面影はなく、新陳代謝が起きていなかった。過去2シーズン、チームはコンビネーションプレーよりも、ドウグラス、ピーター・ウタカのような個に頼って勝ち点を奪っていたのが実状で、今シーズンはそれも失っていた。

 もっとも、依然としてポゼッション率は高かった。どの試合も、ボール支配では優位に立っていた。しかし横パスが多く、崩し切れていない。むしろ、カウンターの呼び水になってしまっていた。

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