スタイルを捨ててJ2降格を免れた広島は、あの強さを取り戻せるのか
「泥沼から抜け出そうともがき、どうにか這い出たが、ヘトヘトに......」。サンフレッチェ広島にとっての2017年シーズンは、そんな総括になるかもしれない。
前半を折り返した時点でホームでは1度も勝てず、降格圏の17位に低迷。3度のリーグ優勝をもたらした森保一監督が責任を取る形で退任した。後任のヤン・ヨンソン監督は"負けない戦い方"を選択。もともと地力のある選手たちが巻き返し、しぶとく勝ち点を稼いだ。そして第33節、FC東京に2-1で競り勝ったことで、なんとかJ1残留を決めている。
ホーム最終戦でJ1残留を決めた広島。試合後、今季でチームを去るミキッチが胴上げされた なぜ、泥沼でもがくことになったのか?
広島は昨シーズン6位だったが、過去5年で3度Jリーグ王者になっており、優勝候補に推す声もあった。
「紙一重のところ。勝てるところを引き分け、引き分けられるところを負けた。序盤でペースを失ってしまった」
選手たちは苦しい心境を洩らすが、負の連鎖にはまっている。今年2月の開幕戦、アルビレックス新潟戦では、明らかに優勢に試合を進めながら、崩し切れずに工藤壮人の1点のみで引き分け。以来、10節まで9試合が引き分けか1点差の勝負で、どちらに転んでもおかしくはない試合で勝ち点を次々に取りこぼした。
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