泣くな、松本山雅。J1を逃すも、まだ反町監督と理解あるファンがいる (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Masashi Hara - JL/Getty Images for DAZN

 2012年にJ2昇格から6シーズン。その間にはJ1昇格も果たした松本だが、クラブの強化における第一段階は終了し、次のステップへと進むときに来ていると言えるだろう。

 技術的には粗削りでも惜しみなく走れる選手をそろえ、堅守をベースにカウンターやセットプレーで効率よく得点を奪う。反町監督は現実的な手段で"勝てるチーム"を作り上げ、J2参入からわずか3シーズンでJ1行きのキップを手にした。

 しかし、そんなサッカーで勝ち続けることも、限界に近づいているのは間違いない。MF工藤浩平は語る。

「(松本は)最後までやり切る走力とか、そういうことを武器にするチームだが、J2もレベルが上がり、それだけでは勝てなくなっている。出し惜しみしている選手はいなくても、負けるとそういう部分(走れているかどうか)だけが目立ってしまうが、最後まで諦めないのは大前提で、そこにプラスアルファをどうするかを考えなければいけない」

 泥臭く走り続け、相手を運動量で上回ろうという姿勢は「山雅らしさ」として定着した一方で、勝てば「今日はよく走った」、負ければ「今日は走れなかった」で結論づけられることが多くなった。

 だが、工藤が言うように、負けたからといって必ずしも走っていなかったわけではないし、よく走ったから勝てたわけでもない。

 3年前はJ2で2位となり、J1昇格。昨季にしても、例年なら自動昇格に値する勝ち点84を挙げ、3位となった。そんな成果のベースに走力や運動量があったのは確かだが、走り勝てた頃の強さを取り戻そうとするだけでは、もはや前進は見込めない。

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