あの痛快なサッカーはどこへ?
レノファ山口に見る小クラブ転落の構図 (5ページ目)
一昨季のJ3で、そして昨季のJ2で、山口のサッカーから受けたインパクトは強烈だった。ピッチ上の選手たちがケレン味なく走り回り、1点取られたら2点を、2点取られたら3点を取り返そうとするサッカーは痛快で、理屈抜きに見ていて面白かった。
だからこそ、そんな極上のエンターテインメントを提供してくれたクラブが、この期に及んで一枚岩となって戦えていないのだとすれば、こんなに残念なことはない。
実を言えば、仮に山口が21位に終わったとしても、J3へ降格する可能性は現時点でかなり低い。というのも、もし今季のJ3で、J2ライセンスを持たないクラブが2位以内に入った場合、J3からの昇格クラブはなくなり、それに合わせてJ2からJ3への降格もなくなるからだ。
J3第30節終了現在、1位の栃木SCはJ2ライセンスを持つものの、2位を争うブラウブリッツ秋田とアスルクラロ沼津は、いずれも持っていない。もちろん最終的に順位が確定するまではわからないが、現状においては栃木以外のJ2ライセンスを持つクラブが、2位以内に入る可能性はほとんどなく、つまりは、今季J2で21位になったクラブがJ3へ降格する可能性もほとんどないということになる(栃木がJ3で3位以下に終われば、群馬も降格を免れる)。
それでも山口が現在、危機に直面していることは間違いないだろう。少なくとも、大きな危機に発展しかねない火種が、クラブのなかでずっとくすぶり続けている。
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