あの痛快なサッカーはどこへ?レノファ山口に見る小クラブ転落の構図

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Masahiro Ura/Getty Images for DAZN

 今年もまた、この季節がやってきた。今季Jリーグも最終盤を迎え、優勝争いや昇格争いとともに、残留争いが佳境を迎えている。

 今季J2も残すところ、あと2節という現在、J3へ降格してしまうか否かの瀬戸際に立たされているのが、レノファ山口である。

J3降格の危機に直面しているレノファ山口J3降格の危機に直面しているレノファ山口 11月5日に行なわれたJ2第40節、前節終了時点で21位の山口は、アウェーゲームながら同6位につける東京ヴェルディを2-1で下した。前半を0-1で折り返しながら、後半に2点を奪い返す、鮮やかな逆転勝利だった。

 しかしながら、この勝利で勝ち点3を積み上げた山口は、20位のロアッソ熊本との勝ち点差を3に縮めたものの、順位は21位と変わらず。全22クラブ中、下位2クラブがJ3自動降格となるJ2においては依然、降格圏に沈んだままだ。

 JFL時代から山口でプレーするMF鳥養(とりかい)祐矢は、「今季は(昨季から)大幅に選手が入れ替わり、開幕当初からなかなか自分たちらしく戦えず、今の順位のままここまで引っ張ってしまったことに、不甲斐なさというか、責任を感じている」と、逆転勝ちにも笑顔はない。

 確かに、残り2試合で勝ち点3差をひっくり返すことは容易ではない。それでも、「ここ4試合はチームが少しずつよくなり、もうひとつ上のレベルでプレーできている」とカルロス・マジョール監督。今季途中からチームの指揮を執るアルゼンチン人監督は、「残り2試合は勝利が絶対条件だが、今日と同じような姿勢で臨めれば、また勝てると思う」と前向きに語る。

 鳥養もまた、「後半のサッカーには手応えがあった。うちはロスタイムの失点が多いが、その反省を生かし、今日はピンチでも体を張って守れた。何とか残り2試合で残留をつかみたい」と、悲壮な覚悟をうかがわせた。

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