ペトロビッチ流を「脱却」か「進化」か。OB福田正博も悩む浦和の未来 (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 就任した堀孝史新監督は、2012年からトップチームのコーチをつとめてきた。2011年シーズン途中からは当時のゼリコ・ペトロビッチ監督の解任を受けてトップチームを率いた経験もある。

 この時の堀監督は、それまでユースの監督をしていたこともあって、ユース時代から知る原口元気や山田直輝らの若手や、出場機会のなかった選手をうまく起用しながらチームを立て直し、J1残留に導いた。

 しかし、今回はチーム事情が大きく異なっている。就任に際して「選手たちには正しい競争をさせていきたい」と語っていたが、現在の浦和は競争できるほど選手が揃っていない。

 監督交代によってチームが生まれ変わるケースは確かにある。鹿島アントラーズは大岩剛が6月からチームを率いることになり、8月13日の第22節で敗れるまで8勝1分と、劇的にチームは生まれ変わった。

これはトップチームのコーチをしていた大岩監督が、選手を正しく競争させたこともあるが、鹿島のサッカーがシンプルなスタイルだったことも大きい。フィジカルコンディションを優先して選手を入れ替えたとしても、戦術がシンプルであれば選手同士のコンビネーションが多少悪くても、なんとかなるものだ。

 だが、今の浦和はほぼ一定の選手たちでコンビネーションを高めていき、特殊な戦術を成熟させながら進化してきたチームだ。この場合、フィジカルコンディションを優先した競争で新たな選手を起用しても、試合になるとその新たな選手が加わったことが、かえってチーム全体の停滞を招くことになりかねない。

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