川口能活・41歳に、「いま自分がJ3相模原にいる理由」を聞く (6ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 試合に出ることが当たり前で、勢いがあったかつての自分とは異なり、今は「不安」と「自信」と、そして「楽しみ」という感情が激しく交錯するという。

「今は試合に向かうバス、ミーティングの前、その時々で不安と自信と楽しみと、いろいろな思いが自分のなかに入り組んでくる」

「でもね」と言って、川口はさらに言葉を続けた。

「そのことにビビるような年齢でもないですからね。それに不安や自信、楽しみも含めて人生じゃないですか。そこに対して常に100%で挑む。それが今の僕の現状ですよね」

 笑うと目立つようになった目もとの皺は、優しさを感じさせる。培ってきた自信も、試合に出られない日々により芽生えた不安もひっくるめて、人生を楽しんでいる。なにより今、川口は自分のためにプレーしている。それがすなわちチームのためになることを知っているから。

 本人も認めるように、キャリアは晩年に差しかかっているのかもしれない。だが、人間味を増した彼に触れるたびに、取材できる幸運に感謝する。その瞳の奧をのぞけば、誰よりもギラギラとしていた。

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