W杯出場の決め手に、福田正博がハリル監督に求める岡崎慎司の起用法 (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 トップ下に初めて起用された原口も、彼らしさを存分に発揮していた。キックオフ直後から攻守でひたむきに戦い、積極的にドリブルでボールを持ち出して攻撃の形を作った。彼の最大の魅力は、「勝ちたい」「ワールドカップに出たい」という気持ちがプレーに出ていること。ここ数試合の原口はそういった闘争心が陰を潜めていたが、イラク戦では久しぶりに原口らしさを見ることができた。

 本田圭佑については、評価をあらためる必要がある。いい状態の時の彼が徐々に戻りつつあると言っていい。キャプテンマークを託されて、気負うことなく役割やゲームの流れを読み、酒井宏樹と共に右サイドを崩してラストパスも何度も出すなど、ゲームを作っていた。

 昨年のW杯予選では、周りの選手が攻め上がろうとして本田にボールを預けた際に、ボールロストしてピンチを招く場面が目立ったが、イラク戦ではしっかりボールを収め、日本代表が守備から攻撃に転じる時間を作る役割を果たしていた。今回以上のパフォーマンスを今後も発揮してくれれば、"本田不要論"は起きないはずだ。

 イラク戦で代表初ゴールを決めた大迫勇也は、能力の高さを証明した。所属するケルンでは1トップではないが、普段からブンデスリーガで体の大きな選手を相手にしているため、コンタクトスキルが格段に高い。本田と同様、前線で相手に囲まれてもボールを失わないのが強みだ。大迫のところで簡単にボールを奪われていたら、イラクに2次、3次攻撃を受け、日本代表のDFラインはどんどん下がっていたはず。しかし、大迫が最前線でボールをキープすることができていた時間帯は、中盤やDFラインを押し上げることができていた。

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