鹿島・大岩監督が求めた3つのこと。新体制でも王者の哲学は変わらず (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 キャプテンマークを巻いて出場したDF昌子源が、「実際にやるのは、僕ら選手。それを、みんなもわかっていたと思うし、その思いをしっかりとピッチで表そうとした」と、この一戦にかける思いを語ったように、選手たちも危機感を持っていた。そのうえで、大岩新監督が"鹿島の哲学"を取り戻させたことも勝利には大きかった。

 大岩新監督が初陣で見せた"色"は、何も原点回帰だけではない。3得点を奪って折り返した後半、広島が前に出てきたため、押し込まれる場面が増えたが、それには選手交代を駆使してうまく対応した。まさに、そのひとつ、ひとつに明確な意図があった。

 広島は左ウイングバックを務める柏好文の突破力を生かしての反撃を試みていた。後半22分には、その柏のクロスから失点したが、すると大岩監督はすぐさまレアンドロを下げて、DF西大伍を投入したのである。

「(後半は)うちのDF伊東(幸敏)のサイド、そこが(広島の)柏選手に1対1でやられてしまっていた。そのため、西を入れることで数的優位を作れるのではないか、と」(大岩監督)

 大岩監督は、サイドバックを主戦場とする西を2列目に置くことで、伊東と西のふたりで相手のキーマンである柏の突破を封じた。さらに、西が中盤でタメを作って、相手のストロングポイントを完全に消した。

 また、広島が選手交代に加えて、システム変更をしてまで攻撃に打って出てきた終盤には、満を持してMF小笠原満男をピッチに送り込んだ。

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