J2脱出が見えてきたグランパス。「風間パズル」のピースは誰なのか (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO SPORTS

 内田は熱っぽく語ったが、彼自身、新天地にサッカー人生を懸けているのだろう。川崎時代、風間監督の指導によって多くの選手が成長を遂げた。大久保は30歳で初の得点王に輝き、中村憲剛は36歳でMVPを獲得し、小林悠、大島僚太、谷口彰悟ら無名だった若手は日本代表に選ばれるまでになった。

<自分たちもそのひとりになれる!>

 その気運が、名古屋の土俵際の強さにつながっているのかもしれない。
 
 後半に入って、55分だった。和泉竜司がドリブルで1人を置き去りにした後、ペナルティエリアに入ってから打ったシュートが相手のハンドの判定に。このPKで同点に追いつく。77分には田口が強引にペナルティエリア内に割って入り、2人に倒されて再びPKを得る。これで逆転に成功した。

「まだパスのズレなどはありますが、徐々に結びついてきたなと感じますし、その中で生まれたPK2本でした」

 風間監督は得点シーンをポジティブに捉えた。

 しかしそれは、和泉、田口という名古屋の中で突出した「個」が決めたゲームだった、とも言える。その点、風間グランパスのチーム完成度が高かったとは思えない。ポジションもメンバーも毎試合のように変化し、「ボールをどう止めて、どう運び出すのか」を突き詰めている途上だ。

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