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安英学はたくさんの橋を架けた (5ページ目)

  • 木村元彦●文 text by Kimura Yukihiko  photo by Getty images

引退式の翌日、筆者らとトークショーを開催した安英学(右) 撮影/リー・ボヒョン引退式の翌日、筆者らとトークショーを開催した安英学(右) 撮影/リー・ボヒョン
 4月30日の引退セレモニーが終了した翌日、新潟市内の北書店でトークショーが行なわれた。オフィシャルなものではなく、安が新潟のサポーターのために、店主の要望に応えて実現したものである。会場には「これ!AN後援会」の横断幕が飾られていた。イベントが終わり、いよいよ幕が外されるとき、感極まって涙ぐむ人がいた。現役の安を応援する機会はもうない。しかし、この横断幕は後輩たちに受け継がれる。8月5日午前10時、東京朝鮮高校で引退試合が行なわれ、その場で贈呈式も行なわれるという。

 近年、ロクな横断幕の話題がなかったサッカー界で、それは大きな意味と輝きを持つだろう。誰かを貶める、挑発・排除するためのものではなく、新潟の人々が心の底からの繋がりを願った横断幕であるのだから。そして安の築いた魂も橋も引き継がれていく。その先にこそ、Jリーグの100年構想はある。

(おわり)

    

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