湘南に3-0。J1昇格圏内まで
浮上したアビスパは本当に強いのか (3ページ目)
さらに言えば、ダメ押しとなった3点目はクロスからのゴールだった(右サイドからの駒野のクロスを、途中出場のMF城後寿がヘディングで決めた)。決して多彩とは言えない攻撃も、裏を返せば、確実に点を取れる絶対的な武器があるということでもある。
とはいえ、後半の立ち上がりは、湘南に前半から続く勢いがまだ残っており、この1点だけなら試合はわからなかった。にもかかわらず、ひっくり返されるどころか、逆に3-0までスコアが広がったのは、「経験の差」によるものだと言っていい。
「後半はしっかりと(守備の)ブロックを作り、(ブロックを)下げすぎず、高くなりすぎず、オーガナイズを全うしてくれた」
井原監督がそう話したように、1点リードで迎えた後半の福岡は、自陣で守備ブロックを形成しつつも受けて守るだけでなく、ときに前からプレスをかけ、湘南に揺さぶりをかけた。
すると、早く追いつきたい湘南は、早く前にボールを運びたいが、それがうまくいかずに焦り始める。58分にMF三門雄大のミドルシュートが決まり、点差が2点に開くと、湘南は焦りからミスを増やし、効果的な攻撃はほとんど見られなくなってしまった。
湘南は若さが出た、と言っていいのだろう。この試合の先発メンバー11名の平均年齢は、湘南の24.64歳に対し、福岡は30.55歳。こと前半に関しては、若さゆえのハツラツさで湘南が福岡を凌駕した。ところが、前半アディショナルタイムの先制点に始まり、したたかに流れを引き寄せる福岡に対し、湘南は悪い意味での若さを露呈した。最後は3点目を失って、万事休すである。
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