湘南に3-0。J1昇格圏内まで
浮上したアビスパは本当に強いのか (2ページ目)
では、なぜ福岡は、「前半は湘南に圧倒されたゲーム。そこで点を取られていれば、逆の(スコアの)ゲームになっていた」(福岡・井原正巳監督)というほどの試合を、しかも大差で勝利できたのか。
正直、これを理屈で説明するのは難しいが、あえて要因を挙げるとすれば、「明確な武器」「経験の差」、そして「湘南の拙攻」の3点になるだろう。
まずは、「明確な武器」である。
福岡は前節までにトータル14得点を挙げていたが、その内訳はJリーグ公認『Stats Stadium』のデータによると、セットプレーから(直接決まったものも含めて)が9点、クロスからが5点。つまり、この2パターンだけですべてのゴールを決めてきている。
本来、得点パターンは多いに越したことはない。相手にとっては守りの狙いが絞り切れず、それだけ対応が難しくなるからだ。
しかし、これだけ得意の型がはっきりしていれば、苦しい試合展開でも意思統一は図りやすい。思うように進まない拮抗した試合になればなるほど、ワンチャンスの狙いをチーム全体で共有できることが、福岡のアドバンテージとなっているのだろう。
実際、この試合でも、福岡の先制点はFKから生まれた。FKを蹴ったMF駒野友一は「練習どおり」。それを頭で合わせたMFジウシーニョは「動きながらうまくGKの前に入れた」。前半終了間際という絶好の時間帯もさることながら、得意の型からゴールできたことは、福岡には戦う勇気が生まれる一方で、「相手にとってはダメージが大きかった」(駒野)。
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