理想のサッカーを追求して現在14位。ベガルタはどこまで我慢できるか (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 もっとも、ハマれば機能するものの、その調子の波は一定ではない。ここまで4勝はすべて完封勝利である一方、6敗のうち4つは完敗。とりわけ第6節の浦和戦では0-7という屈辱的なスコアで負けており、一度流れを失うと立て直しがきかず、そのままずるずると引き下がってしまう傾向がうかがえる。ひと言でいえば不安定。変化と進化を求めるなか、今の仙台は産みの苦しみを味わっている段階なのだろう。

 大宮戦でも「良し」と「悪し」の二面性がはっきり浮かび上がった。前半は前からの守備がハマり、大宮に付け入る隙を与えない戦いを披露。最終ラインからしっかりとつなぎ、サイドを巧みに使った攻撃でチャンスを作った。先制点もサイドからのアーリークロスを受けたFWクリスランがエリア内で倒されてPKを奪取。このPKはGK塩田仁史にセーブされたものの、こぼれ球をキッカーのクリスランが自ら詰めて先制に成功している。

 ところが後半、大前を投入した大宮が攻勢に打って出ると、とたんにトーンダウンした。前への積極性が消えて受けてしまう時間が多く、後ろからつなごうとしてもミスを頻発。同点に追いつかれるとますます消極的となり、大宮の勢いを助長した。

「決して負ける内容ではなかったんですが、ミスから相手に流れを与えてしまった。完全に自分たちで、こういうゲーム展開にしてしまったのかなと思います」

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